私たちの食生活に欠かせない調味料である「食塩」ですが、過剰に摂取してしまうとさまざまな病気の原因になります。特に気を付けたいのが、心臓や脳の血管に大きな影響を与える高血圧です。
近年、高血圧予防の一環として、「DASH食」と呼ばれる食事に注目が集まっています。
目次
DASH食とは
日本人と高血圧について
「食塩の過剰摂取は高血圧になる」といわれますが、そのメカニズムはなかなか複雑で、完全には解明されていません。現時点では、食塩の摂取量が増加することで血中のナトリウム濃度が上昇し、体液が増加することが関係していると考えられています。体内のナトリウム濃度と水分量を調整するために血液が増え、増えた血液を体中に行きわたらせるために血圧が高くなるのです。 ※1
石器時代の人類は、1日あたり1~3g程度の食塩しか摂っていませんでした。しかし、およそ5000年前に中国で塩を使った食品の保存方法が発見され、文明の進化とともに、人々の食塩摂取量は増えてきました。
日本人の食生活では、醤油や味噌といった、塩分の多い調味料を日常的に使用します。1950年代の日本人は食塩摂取量が非常に多く、1日あたり27gもの食塩が摂られていた地域もあったといわれています。
また、1980年代には世界の約50の地域で食塩摂取量と血圧などを調べるインターソルト研究が行われました。日本では大阪府・栃木県・富山県の3カ所で調査が行われ、1日あたり9~12g程度の食塩摂取量という結果でした。世界の各地域と比較すると、大阪府(9.8g/日)は世界19位、栃木県(10.5g/日)は世界12位、富山県(12.4g/日)は世界2位と、食塩摂取量は多かったと考えられます。※2
その後、全国で減塩対策が講じられていることもあり、日本人の食塩摂取量は少しずつ減少してきました。2003年に報告された「栄養と血圧に関する国際共同研究(INTERMAP)」では、日本人男性の平均が1日あたり12.3g、女性は1日あたり10.9gまで減少しています。※2
とはいえ世界と比べると、日本人の食塩摂取量はアメリカやイギリスの平均よりもまだ2~3g多いことが分かっています。日本人が主にどの食品から食塩を摂っているかというと、醤油、漬物類、味噌、魚(鮮魚・干物)の順に多く、この4つだけで50%近くを占めます。いずれも日本人の食文化には欠かせない食品であることから、減塩を意識しない食生活を送っていると、食塩摂取量はどうしても多くなりやすいと考えられます。※2
食塩をたくさん摂ると血圧が上がることは、前述のインターソルト研究からも明らかになっています。つまり、日本人はその食習慣からも分かるように、高血圧になりやすい要素を持ち合わせているといえます。
DASH食について
「DASH食」とは、Dietary Approaches to Stop Hypertension を略したもので、「高血圧を防ぐ食事方法」を表します。
野菜や果物、低脂肪乳製品を豊富に摂ることで、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、食物繊維、タンパク質の栄養素をバランスよく摂取しながら、飽和脂肪酸やコレステロールを減らしていくという食事方法です。※5、6
高血圧が要因となって心筋梗塞などで亡くなる人が多いアメリカで提唱され、高血圧の改善効果があるとされています。※3
近年、「食の欧米化」といわれるように、日本人は和食よりも欧米の食生活に近い高カロリーかつ高脂肪な食事を好むようになってきました。DASH食は、食の欧米化が進みつつある現代の日本人に対しても有効性があると考えられているのです。※3
現在、1日あたりの食塩摂取量の目安については、厚生労働省や日本高血圧学会など複数の機関によって、いくつかの数値が掲げられています。
たとえば、日本高血圧学会は高血圧の予防や治療のために、1日6g未満の食塩摂取を推奨しています。厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準 2020年版」では、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。
世界に目を向けると、WHO(世界保健機関)が推奨する食塩摂取量の目安は、男女問わず1日5g未満です。
一方、厚生労働省がまとめた「国民健康・栄養調査(令和元年)」の結果によると、20歳以上の日本人の平均的な食塩摂取量は1日あたり10.1g(男性の平均10.9g、女性の平均9.3g)でした。日本高血圧学会が掲げる目標値よりもかなり多いのが現状です。※4
このように、食塩摂取量が多い日本人は高血圧のリスクが高いと考えられるため、減塩だけではなく、DASH食も食生活に取り入れていくことが望ましいといえます。
日本におけるDASH食の実施について
日本高血圧学会が公開している「高血圧治療ガイドライン2019」によると、高血圧を予防するためには生活習慣を修正することが重要とされています。その具体的な方法として、減塩、適正体重の維持、習慣的運動、節酒、禁煙などが明記されています。さらに、科学的根拠のある食事療法として「DASH食」に取り組むことも推奨されています。※6
しかし、DASH食はもともとアメリカ国立衛生研究所に属する国立心肺血液研究所(NHLBI)によって考案されたものであり、目安となる食生活の例は欧米の食習慣に則って記載されています。たとえば、穀類の項目には次のように書かれています。
・1 slice bread → 食パン1枚
・1 oz dry cereal → 1オンス(およそ28g)のシリアル
・1/2 cup cooked rice, pasta, or cereal → 2分の1カップの調理済の米、パスタ、またはシリアル
さらに注意書きとして、以下のような食品例も挙げられています。※7
全粒粉パンとロールパン、全粒粉パスタ、イングリッシュマフィン、ピタパン、ベーグル、シリアル、グリッツ、オートミール、玄米、無塩プレッツェル、ポップコーン※7
つまり、パンは食パンまたはロールパン、ベーグルなど種類は問いませんが、基本的には全粒粉が推奨されています。また、調理済の米(日本でいえば炊いたお米=ご飯)も、玄米が良いとされています。
このほかにも、野菜、果物、肉と魚、乳製品(低脂肪なもの)、ナッツ、油などの項目があります。野菜や果物を積極的に摂取し、飽和脂肪酸・コレステロールの摂取を控えることを基本としながら、肉や魚も調理済で1日あたり80g程度を摂ることが推奨されています。また、嗜好品として「砂糖を加えたお菓子」という分類もあります。※7
しかし、日本人の食生活からすると、なかなか目標値どおりに摂取するのが難しい品も挙げられています。
たとえばナッツという分類には、2分の1カップまたは1と2分の1オンス(35g程度)のナッツ、大さじ2のピーナッツバター、大さじ2または2分の1オンス(14g程度)の種子、2分の1カップの調理済みマメ科植物(乾燥豆とエンドウ豆)と書かれています。
ナッツ類はマグネシウムを摂取するために推奨されていますが、日本人のなかには大さじ2のピーナツバターや35g程度のナッツ(アーモンドやクルミなど)を毎日食べる人は少ないのではないでしょうか。日本人の食生活に合わせ、マグネシウムの摂取源としてナッツを大豆製品(豆腐や納豆)に置き換えるという考え方もあります。※7、8
参考資料
※1 日本高血圧協会 高血圧Q&A
http://www.ketsuatsu.net/qa.html
※2 日本高血圧学会 減塩のすべて 南江堂
※3 特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 健康管理情報 DASH食 ~今話題の健康ワード!~
https://www.japa.org/tips/kkj_1901/
※4 Sacks FM, Svetkey LP, Vollmer WM, et al. DASH-Sodium Collaborative Research Group. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. N Engl J Med 2001; 344: 3-10.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejm200101043440101
※5 厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告 第 1 部 栄養素等摂取状況調査の結果
https://www.mhlw.go.jp/content/000711006.pdf
※6 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
※7 National Heart, Lung, and Blood Institute(NIH) Your Guide To Lowering Your Blood Pressure With DASH
https://www.nhlbi.nih.gov/files/docs/public/heart/dash_brief.pdf#search=’in+brief+your+guide+to+lowering+your+blood+pressure
※8 産業医学振興財団 平成 23 年度 産業医学振興財団研究助成 報告書 エビデンスに基づく食事療法・生活習慣改善指導を中心とした労働者のための高血圧管理マネジメントシステムの開発研究
https://www.zsisz.or.jp/images/pdf/kenkyuu/k23-03.pdf
DASH食のポイントとなる栄養素について
DASH食のカギを握る栄養素は5つあります。カリウム、カルシウム、マグネシウムという3つのミネラル(無機質)、そして食物繊維、タンパク質です。それぞれの特徴と役割を解説し、多く含まれる食品例を挙げていきます。
カリウム
カリウムは、浸透圧の調整などの働きをもつ、人体に必要なミネラルの一種です。成人の体内には、およそ120~200gのカリウムがあります。そのほとんどは細胞内に存在していますが、血液やリンパなどの体液(細胞外液)、そして骨にもカリウムの一部が存在しています。
カリウムを適切に摂取すれば、体内のナトリウムの排泄を促し、結果的に血圧を下げる効果が期待できます。ほかにも神経の興奮性や筋肉の収縮に関わったり、体液のpHバランスを保ったりする役割があります。
※9
カリウムは、野菜や果物、いも類や海藻類に多く含まれます。具体的な食品の例を挙げ、100gあたりのカリウム含有量を見てみましょう。
野菜……切干だいこん(3,500㎎)/パセリ(1,000㎎)/ほうれんそう(690㎎)/キャベツ(610g)/にら(510mg)など
果物……バナナ(350㎎)/メロン(350㎎)/キウイ(290㎎)など
いも類……さといも(640㎎)など、そのほかのいも類も全体的にカリウムが多い
海藻類……昆布(刻み昆布、8,200㎎)/ひじき(6,400㎎)など※10
大量に摂取した場合も体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであるといわれています。ただし、腎機能に障害がある方が過剰にカリウムを摂取すると、カリウムの排泄がうまくいかず心疾患を引き起こすおそれがあります。腎機能障害などでかかりつけ医の診察を受けている方は、1日あたりのカリウム摂取量が決まっているため、その範囲を超えないよう注意しましょう。※9、※11
カルシウム
カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルです。成人の体内には約1kg含まれており、そのほとんどはリン酸カルシウムとして骨や歯のエナメル質を構成しています。
それ以外は、カルシウムイオンとして血液や筋肉、神経内に存在します。血液の凝固を促したり、心筋の働きを良くしたり、筋肉をクールダウンしたりといった働きがあります。※12
カルシウムは、乳製品や魚介類、大豆製品に多く含まれます。具体的な食品の例を挙げ、100gあたりのカルシウム含有量を見てみましょう。
乳製品……牛乳(110㎎)/パルメザンチーズ(1,300㎎)/プロセスチーズ(630㎎)/ヨーグルト(無脂肪乳、140㎎)など
魚介類……干しえび(7,100㎎)、煮干し(2,200㎎)など、特に骨ごと食べられる小魚に豊富
大豆製品……木綿豆腐(150㎎)/絹ごし豆腐(120㎎)、/糸引き納豆(90㎎)など
なかでも牛乳や乳製品はカルシウムの吸収率が高く、1回の摂取量も多いため、カルシウムを効率よく摂れます。※13
DASH食においては、カルシウムは次に紹介するマグネシウムと一緒に作用して、体の中でさまざまな代謝を助ける成分として挙げられています。※14カルシウムだけではなく、マグネシウムも意識して摂るとよいでしょう。
マグネシウム
マグネシウムは、成人の体内におよそ20~30g存在しています。その60%程度は、リン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして骨や歯に含まれています。それ以外は、筋肉や脳・神経にも存在しています。
マグネシウムの主な働きは、300種類以上の酵素を活性化することです。筋肉の収縮や神経情報の伝達のほか、体温や血圧を調整するのにも役立っています。※14
また、マグネシウムにはカルシウムと作用して血圧を調整する働きもあります。
マグネシウムは、海藻類や藻類に多く含まれます。具体的な食品の例を挙げ、100gあたりのマグネシウム含有量を見てみましょう。
海藻類・藻類……あおさ(素干し、3,200mg)/あおのり(素干し、1,400㎎)/乾燥ワカメ(素干し、1,100㎎)など※15
しかし、海藻類しかも乾燥したものを1日に100gも食べるのは、現実的ではありません。
日常の食生活に取り入れやすい食品としては、かぼちゃ(味付け、530㎎)、そば(表層粉、340㎎)、小麦(小麦胚芽、310㎎)などがあります。※15
健康な人の場合、万が一マグネシウムを摂り過ぎてしまっても、腎臓から尿の中に排出することができます。しかし、腎臓に疾患があるとこの働きがうまくいかず、血液中のマグネシウム濃度が高くなることがあります。通常の食事では摂り過ぎることはありませんが、摂り過ぎた場合は下痢をするおそれもあります。※14
食物繊維
食物繊維は、食品の中に含まれ、人の消化酵素で消化することができない成分のことです。整腸作用のほか、高血糖や糖質異常症の改善にも有効とされ、第6の栄養素として注目されています。
食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。いずれも便通を整えて便秘を防ぐ働きや、脂質・糖・ナトリウムなどを包み込むように吸着し、身体の外に排出する働きがあります。※16
腸内にある過剰なナトリウムの排泄を促すことから、血圧を下げる効果が期待できます。特に、水溶性食物繊維では心血管病を抑制する効果が高いとされています。※11
食物繊維を多く含む食品には、きのこ類、いも類、海藻類などがあります。具体的な食品の例を挙げ、100gあたりの食物繊維含有量を見てみましょう。
きのこ類……きくらげ(79.5g)/乾しいたけ(41.0g)など
いも類……凍みこんにゃく(71.3g)/じゃがいも(皮つき、9.8g)など
海藻類……粉寒天(79.0g)/乾燥ひじき(51.8g)など
日常的な食生活で多くの食物繊維を摂るのは、大変かもしれません。含有量はやや少なくなりますが、乾燥切り干し大根(21.3g)などの野菜や糸引き納豆(6.7g)などの大豆製品、皮付きリンゴ(1.9g)や乾燥バナナ(7.0g)などの果物類を組み合わせるのもおすすめです。※15
日本人の通常の食生活で、食物繊維を摂り過ぎることはほとんどありません。しかし、意識しすぎるあまり多量に摂ってしまうと、ミネラルなどの吸収を妨げるおそれもあります。※16
タンパク質
タンパク質は、脂質や炭水化物とともにエネルギーをつくり出す栄養素です。動植物の細胞を構成する主要な成分であり、人体でいえば、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などを構成しています。そのほか、ホルモンや酵素として代謝を調節したり、抗体として働いたりします。
食事の炭水化物の一部をタンパク質(特に植物性のタンパク質)に置き換えることで、軽度の降圧効果があるという研究結果もあります。※11
また、タンパク質は血管の弾力性を保ち、老化を防ぐのに不可欠な栄養素とされています。
タンパク質は、卵類、肉類、魚介類、大豆製品などさまざまな食品に多く含まれています。食品に含まれるタンパク質は、タンパク質を構成するアミノ酸の種類や数、順序によって種類が異なり、体内での利用率が変わってきます。具体的な食品の例を挙げ、100gあたりのタンパク質含有量を見てみましょう。
卵類……全卵(生、12.0g)など
肉類……豚肉(ヒレ・赤肉、39.3g)/鶏肉(胸肉皮なし、38.8g)など
豆類……糸引き納豆(16.5g)/生揚げ(10.7g)などがあります。※14、16
ただし、DASH食では動物性の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸や、鶏卵などに含まれるコレステロールの摂取を減らすよう推奨されています。豆類などの植物性タンパク質や不飽和脂肪酸を含む赤味の魚類から多く摂る、肉類の場合は脂質の少ない部位(赤身肉)を選ぶなどの工夫をしましょう。
タンパク質が不足すると、成長障害や体力・免疫力の低下などが起こります。過剰になった場合に起こる問題点については、いまだ不明瞭な部分もありますが、今後の研究により分かってくることがあるかもしれません。
減らすべき栄養素について
DASH食では、前述したカリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維・タンパク質の5つの栄養素について、バランスよく摂取量を増やすこととされています。その一方で、摂取量を減らすよう推奨されているのが、飽和脂肪酸とコレステロールです。
脂肪を構成する脂肪酸には、植物や魚の脂に多く含まれる不飽和脂肪酸と、肉類など動物性の脂肪に含まれる飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸はさらに、血液中のLDLコレステロールを下げる効果のある一価不飽和脂肪酸と、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げる効果のある多価不飽和脂肪酸に分類されます。いずれも健康に良い作用があり、適切な摂取が推奨されています。
一方、飽和脂肪酸は過剰に摂取すると血中総コレステロールが増加し、さまざまな循環器疾患を発症するリスクが増加するとされています。人間の活動に必要なエネルギー源でもあるため適切な量の摂取が望ましいですが、DASH食においては減らすべき栄養素の1つとして挙げられています。※18、19
コレステロールとは、人体に存在する脂質のひとつで、細胞膜やさまざまなホルモン、胆汁酸などをつくる材料となります。血液中のコレステロールが過剰になっても不足しすぎても動脈硬化などの原因となるため、適量の摂取が望ましいとされています。DASH食においては飽和脂肪酸とともに、減らすべき栄養素の1つとして挙げられています。※20
参考資料
※9 e-ヘルスネット(情報提供) カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※10 東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター カリウム制限は?
http://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou/shokujiryouhou-kalium.html
※11 厚生労働省 生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042644.pdf
※12 e-ヘルスネット(情報提供) カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
※13 農林水産省 みんなの食育 大切な栄養素カルシウム
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics1_05.html#:~:text=%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AF%E3%80%81%E7%89%9B%E4%B9%B3%E3%80%81%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%81,%E3%82%88%E3%81%8F%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%8C%E3%81%A8%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
※14 e-ヘルスネット(情報提供) マグネシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※15 食品成分データベース 食品成分ランキング
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
※16 e-ヘルスネット(情報提供)食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※17 e-ヘルスネット(情報提供) たんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※18 e-ヘルスネット(情報提供) 不飽和脂肪酸
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionaries/food
※19 農林水産省 脂質による健康影響
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html
※20 e-ヘルスネット(情報提供) コレステロール
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html
DASH食を効果的に実行するには
生活習慣の改善など複合的な取り組み
DASH食は、「これだけ食べていればよい」というものではありません。前述した5つの栄養素をたくさん摂るのはもちろんですが、バランスが重要です。
たとえば、タンパク質には肉や魚などに含まれる動物性タンパク質と、大豆製品などに含まれる植物性タンパク質があります。また、乳製品にも多く含まれています。動物性タンパク質だけ、あるいは植物性タンパク質だけに偏ったり、乳製品だからと毎日チーズばかり食べたりするのは、バランスの良い食事とはいえません。※11
また、カルシウムだけを多く摂っても、マグネシウムが不足していると体内で効果的に作用しません。何事も、バランスが大切なのです。
バランスの良い食事と合わせて生活習慣の改善にも取り組むことで、DASH食の効果はさらに高まります。たとえば、これまでに行われている研究などから、DASH食と減塩や減量、運動、節酒などを組み合わせるとさらに血圧を下げる効果が期待できることが分かっています。※11
減塩
日本高血圧学会によると、高血圧の予防や治療のためには1日あたり6g未満が食塩摂取量の目標値とされています。なお、欧米では近年、これよりもさらに厳しい基準を掲げる動きもあります。
実際に1日の摂取量を計算するのは大変ですが、日々使う調味料を少し工夫することから始めるのもおすすめです。たとえば、醤油や味噌などの調味料を減塩タイプに置き換えたり、うま味や酸味を補うことで食塩を含む調味料の量を減らしたりするだけでも減塩への取り組みになります。※11
無理せず減塩を続ける工夫は、「減塩のコツ」でもご紹介しています。
適正体重の維持
高血圧だけではなくすべての生活習慣病にいえることですが、肥満の方、あるいは最近太ってきたという方は、適度な運動により適正体重の維持に努めましょう。
肥満が高血圧の発症・維持・重症化に関連していることが、これまでの多くの研究により分かってきました。さまざまな条件により結果は違いますが、統合的には、肥満自体が高血圧の重要な発症要因と考えられています。※2、11
適正体重は、BMI(Body Mass Index/ボディ・マス指数)が22になるときの体重とされています。BMIとは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される数値で、肥満や低体重の判定に用いられています。※21
バランスの良い食事に加え、適度な有酸素運動を行ったり、通勤・通学や散歩、家事など毎日の生活でこまめに体を動かしたりするとよいでしょう。※21
嗜好品を控える
お酒が好きな人は、アルコールを控えめにすることで、血圧を下げられる可能性があります。アルコールの摂取量が多くなるほど、血圧の平均値が上昇し、高血圧となる頻度が増加することが分かっています。
DASH食には、アルコールは含まれていません。高血圧を治したい、高血圧になりたくないという方は節酒を心がけ、アルコールを控えるようにしましょう。
また、禁煙も血圧を下げる効果が期待できます。心血管病の危険因子を見ると、65 歳以上の高齢、喫煙、脂質異常症、肥満(BMI 25 kg/m2 以上)、メタボリックシンドローム、家族歴、糖尿病などが挙げられています。つまり、喫煙も高血圧や心臓・血管の病気の大きな要因になります。特に、65歳以上の方や高血圧の親族がいる方は、すぐに禁煙に取り組みましょう。※2、11
参考資料
※11 厚生労働省 生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042644.pdf
※2 日本高血圧学会 減塩のすべて 南江堂
※21 e-ヘルスネット(情報提供) BMI
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html
※22 農林水産省 適正体重の維持
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_06.html
埼玉県内および東京都内の総合病院手術室勤務、眼科クリニック勤務等を経て、IT関連企業へ。
2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向けの疾患啓発サイトや書籍原稿執筆、医療従事者向け情報サイト等での執筆、医療従事者への取材などを行う。健康食品管理士の資格を活かし、栄養成分やサプリメント等に関する記事執筆も多数あり。