アルギン酸類の摂取方法

塩分の摂りすぎを防ぐためには、摂取する塩分量を減らす「減塩」だけでなく、摂取した塩分を体の外に排出する「塩分コントロール」という方法もあります。塩分コントロール技術に大きく関係するアルギン酸類について、その特性や摂取による効果を解説し、アルギン酸類の効果的な摂取方法をお伝えします。

アルギン酸類とは

食物繊維のひとつであるアルギン酸類は、コンブやカジメ、アラメなどの海藻(褐藻類)のぬめり成分であり、藻体の細胞間にゼリー様に満たされた状態になっています。アルギン酸という名前も、海藻を意味するAlgae、そこから得られる酸性物質ということで、Alginic acid と名づけられたといいます。※1

褐藻類は、世界中に多くの種類が存在しています。主に寒流域に生い茂っており、活発な生長力をもっています。アルギン酸類は、特に大型の褐藻類を原料として抽出・精製されています。

参考資料

※1 宮島千尋 アルギン酸類の概要と応用 繊維学会(2009)65巻12号 p444-448
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/65/12/65_12_P_444/_pdf

アルギン酸類を摂取することによる効果

アルギン酸類を摂取することによる効果として、塩分を排出する「塩分コントロール技術」による血圧低下、食物繊維による便秘改善、コレステロール値低下などが挙げられます。それぞれ解説します。

塩分コントロール技術による血圧低下

アルギン酸類が備えるカルボキシル基はイオン交換能が高く、陽イオンと結びつきやすい性質をもっています。この性質はミネラル分との高い親和性を発揮し、体内の余分な塩分(ナトリウム)と結びつき体外へ排出させることができるのです。詳しくは「塩分コントロール技術とは」の記事をご覧ください。

ラットによる実験ではありますが、体内のナトリウム量増加が影響を与えると考えられている高血圧において、アルギン酸類の摂取によりナトリウムを排出することで血圧低下効果があるとする報告もあります。※2

食物繊維による便秘改善

アルギン酸類は食物繊維の一種であり、食物繊維がもつ良い効用も期待ができます。そのひとつが腸内環境を整える効果です。

腸内環境が良い状態にあるかどうかは、腸内細菌のバランスが影響します。腸内細菌には善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間菌(日和見菌)があります。食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内細菌のうち善玉菌が優勢になるように貢献します。また、食物繊維は腸内の老廃物を排出するため、便秘改善効果があることもよく知られています。近年、腸内細菌は生活習慣病などさまざまな疾患との関連が明らかになりつつあり、腸内環境を整えることはそうした疾患の予防につながるといえるでしょう。※3

食物繊維の効果としてもうひとつ挙げられるのが、ダイエット効果です。前述の便秘改善効果による体重減少に加え、食物繊維を含む食事は少量でも満足感が得られやすく、満足感が長く続くことから、ダイエットにも効果的です。※4

コレステロール値低下

これもラットによる実験ではありますが、アルギン酸類にはコレステロール値を低下させる効果も確認されています。アルギン酸類には、コレステロールの原料となる消化液である胆汁酸を腸内で包みこみ、再吸収されるのを防ぐ作用があります。そのまま体外に便とともに排泄することで、コレステロール値が低下すると考えられています。※5

動脈硬化は、動脈内にコレステロールが蓄積することにより進行します。そのため、アルギン酸類によってコレステロール値が低下することで、動脈硬化予防効果も期待できます。※5

参考資料

※2 辻啓介ほか 食物繊維のナトリウム吸着能が高血圧自然発症ラットの血圧に及ぼす影響 日本家政学会誌(1988)39巻3号 p.187-195
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej1987/39/3/39_3_187/_pdf/-char/ja
※3 厚生労働省 e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
※4 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 栄養に関する基礎知識
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/diet/diet01/
※5 Makoto NISHIZAWA, et al. Effect of Depolymerized Sodium Alginate on the Serum and Liver Cholesterol Levels in Cholesterol-Fed Rats. J. Home Econ. Jpn. (1997) Vol. 48 No. 8 p.695-698
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282681309489280

海藻を食べるだけで塩分コントロールはできるのか

それでは、アルギン酸類の原料となるコンブなどの海藻をたくさん食べれば、十分なアルギン酸類やアルギン酸塩類を摂取でき、塩分コントロールなどの効果を得られるのでしょうか。

答えは、「必ずしもおすすめできるものではない」ということです。

海藻の体表はセルロースで覆われています。セルロースも食物繊維として知られる成分ですが、不溶性であり、その多くは消化されずそのまま排泄されてしまいます。つまり、海藻をそのまま食べたとしても、アルギン酸類は十分な効果を発揮することなく体外へ出てしまうのです。

また、海藻にはヨードが含まれています。ヨードは甲状腺ホルモンの合成に必須の物質である一方で、過剰摂取によって甲状腺の機能を抑制してしまう作用も確認されています。特に、甲状腺疾患をもつ方の健康に深刻な影響を与えてしまいます。

こうした理由により、アルギン酸類を摂取するために大量の海藻を食べ続けることは、決しておすすめできないのです。

海藻から抽出したサプリメントであれば簡単に摂取できる

前述のとおり、塩分コントロールのために大量の海藻を食べ続けることは現実的とは言えません。

そこでおすすめしたいのが、サプリメントで摂取する方法です。カリウム摂取量を気にしなければならない腎機能が低下している方や腎臓病の方、ヨード摂取量を気にしなければならない甲状腺疾患の方など、どなたでも簡単かつ効率的にアルギン酸類を利用した塩分コントロールが可能になります。また、海藻から抽出したアルギン酸類はそのまま口に入れてしまうと海藻由来のぬめり成分が出てしまいます。カプセルで覆われているサプリメントや表面がコーティングされているものであれば、ぬめりを気にせずに飲むことができます。

多くの方が「おいしい食生活」を楽しむために

アルギン酸類による「塩分コントロール技術」には、さまざまなメリットがあることをお伝えしました。アルギン酸類を活用した製品はすでに実用化されており、「アルギン酸類 サプリ」で検索すると、さまざまな特徴をもったサプリメントや調味料などを見つけられます。健康管理のために我慢したり、食事を制限したりするのはとても苦しいものです。「塩分コントロール技術」が生み出したサプリメントや調味料を利用して、おいしいものをおいしいまま食べる生活を始めてみませんか。